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また、明日。

マイペースにやってます。

『脳がこわれた』 鈴木大介

 

脳が壊れた (新潮新書)

脳が壊れた (新潮新書)

 

 

ライターの鈴木大介さんの著作です。41歳という若さで脳梗塞にみまわれた日のことから始まり、その後のリハビリや現在の状況を記した闘病記といえる部分と、鈴木さんのライフワークである「社会的弱者」と脳の機能低下(高次脳機能障害)によって生じる問題を絡めた「社会的弱者理解と救済を見据えた本」でもあります。

 

私は鈴木さんのことを数ヶ月前にTwitterで知り、それ以来著作『最貧困女子』を読んだり、東洋経済に連載している記事を追っているのですが、その目線の優しさと真摯な姿勢にすっかりファンになってしまいました。また、貧困エンタメを否定し、社会に対しての提言や改善策を書き続けているところが、非常に現実的かつ明確な理想を備えていてとても好感を持っています。

 

今作でも自身や周囲の人たちへの視線がまっすぐなことに驚かされました。ふつう、自分が不自由を背負うことになったら何かを恨んだり、誰かに八つ当たりしたくなると思うのですが、自分がぶちあたった問題は、鈴木さんが過去に取材してきた人たちが抱えていた問題とシンクロすると言い、問題を個人のものとして矮小化することなく目をひたすら社会に向けていることに驚きました。

 

この人、どんだけいい人なんだ…。

 

と思っていたので、奥様への暴言は非情に意外でした。でも、スーパーマンってどこにもいなくて、誰も100%完全無欠ではないんだな、と。奥様から鈴木さんに宛てた文章には涙がでてしまいました。ここだけでも必読。いわゆる「片付けられない女」である奥様が自信のない自分と生い立ちを恨むことなく、まっすぐに鈴木さんへ信頼と愛情を示していてほんとに泣けます。。。でも「鈴木さんって偽善者!」とは思えないんですよね。奥様とお義母様との仲介に入ったり、結果的に彼女に寄り添い続けたのは鈴木さんだったわけで。そして奥様が鈴木さんの「太陽」でいるのも事実なんだろうなぁ、と。

 

私、誰かのことをこんなに優しく受け止められるかなぁ…。鈴木さんも、奥様も、すごく優しいので、末永く幸せに暮らしてほしいなぁ。あ、書評というよりはおふたりへのラブレターになってしまった笑

 

この本、鈴木さんが東洋経済に連載しているコラムと併せて読むと、自分にできること・社会の一員として何をなすべきか、ということが見えてくるのではないかとすら思えます。「優しい社会」とはなにか。具体的な施策はなにがあるのか、なにができるのか。少しだけ目線を変える手助けになるのでは、と思っています。

 

無責任な「自己責任論」ではなく、具体的な「なにか」を。