また、明日。

マイペースにやってます。

コクーン歌舞伎 『東海道四谷怪談』

この数年、歌舞伎に注目しております。

その昔、『負け犬の遠吠え』でマーガレット酒井さんが「独身女が三十路を過ぎると歌舞伎と着物に走る」と書きました。確か林真理子さんも同じ道を辿っておりました。そして四十路を過ぎて私もまんまと歌舞伎に片足突っ込み始めています。(着物は一時期仕事で散々扱ったのでおなかいっぱい)

 

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故・中村勘三郎さん主演の、あのお岩さんの話なのですが、これって「壮絶なDV夫婦の物語」なんですね...。色男の伊右衛門が欲をかいて古女房のお岩に毒を盛るわけですが、その際にも伊右衛門は殴る蹴るの暴行を働き、まだ赤子である息子の着物まで剥いでうっぱらう始末。いや、これひどい話ですよ、ほんとに。

 

でも、かっこいいんですよ…伊右衛門が。中村橋之助さんが演じているのですが、フェロモンまき散らして、かっこいいのなんの…。子供の頃は「なんで男の人が必要以上に真っ白に塗った顔してんだろう」と思ってましたけど、色男は白く塗ったあの肌に切れ長な目を強調するメイクじゃないと色気がでないんでしょうね。子供の頃からジャニーズ大好きっ子だったため、ああいうしゅっとした男前のよさがわかってなかった。いや、そもそも「これが色男ですよ」という記号を理解できてなかったわけですが。

 

勘三郎さんのお岩の悲哀がすばらしかった。赤子を気遣う母の顔と、伊右衛門に騙されたと知ったときの女としての苦悩、そして「やられた!」と受け入れたときの憤怒の表情。。。女性が持ちうるであろう愛憎を凝縮して演じられていて、本当に素晴らしかった。勘三郎さんの舞台をもう見られないのは非常に残念ですが、こうして映像作品が残っているというのはテクノロジーさまさまだなぁ…と思います。

 

話は変わりますが、私の祖母は歌舞伎が好きでした。女学校にも通ったことのない人でしたが、昔の人は「娯楽のひとつ」として広く楽しまれていたんですね。ドリフのオープニングでいかりや長介さんが松尾芭蕉の俳句をひいていたりしていましたが、そういう「教養」の幅が30年くらい前はいまよりずっとずっと広かった。歌舞伎もその時代までは一般的に楽しまれていたんだなぁ、と思うと、私は肩肘はらずに楽しもうと思えるんです。なかなかお芝居を見に行く機会はないので、映像作品を気軽に楽しもうと思っています。

 

次は『奥州安達原』みよ。染五郎さんでてるし(キャッキャ)