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また、明日。

マイペースにやってます。

鈴木傾城 『グッドナイト・アイリーン』と『コルカタ売春地帯』

鈴木傾城さんの本を二冊読みました。

 

一冊目は『グッドナイト・アイリーン』という町田にある外国人売春街を舞台にした小説です。11月のKindle Unlimitedに入っていて、「お。町田?」と思って気軽に手にしたものです。 

題名にもなっているアイリーンは出稼ぎタイ人で、 主人公男性とのほんのりとした心の交流がとても温かく、そして切ないお話でした。これが事実をベースにしたものかどうかは私にはわかりませんが、日本にも数多くの出稼ぎ外国人女性がいる中で売春に携わる人がいるのは事実。そんな人たちとこういう交流があってもいいよね、という夢のある(っていうのも変だけど)お話でした。鈴木さんの文章もシンプルで、主人公男性の自虐的な部分も好ましく思える程度で、読後は悲しい気持ちがありながらもさほど嫌な気持ちに見舞われることもありませんでした。

 

 で、次に読んだのがこちら。

 

 コルカタには1度行きましたが、とにかく熱い。暑いではなく熱い。人は多いし、とにかく熱い。歩いているうちにボーっとしてきて判断力なんて失われるレベル。インドでは買い物しまくる予定だったのに、何を見ても何も買う気が起きない。かろうじて買ったのはプリントコットン生地10枚ほど(2mずつ、バラマキお土産用)と紅茶(数袋のお土産用のみ)とカルダモンクッキーだけ。そのクッキーも間違えて、違う種類のを買ってしまった…といいうくらい、私から判断力を奪った街。それがコルカタです。

 

そんなイメージしかないコルカタの貧民街の売春宿。想像するだけでぞっとする場所に違いなく、主人公男性のやる気(あっちの話)に関心するばかりでした…。

 

タイもそうですけど、清潔・不衛生などの感覚が日本って全然違うんですよね。この本を読んでいて気分が悪くなる人もいると思うんですが、多分実物は想像の50倍くらいすごいんだろうと思います。それに加えて命の重さなんてまったく異なる国、異なる場所。そこでは上記の本にでてきたアイリーンとのような心細やかな交流は望めないでしょう。さしはさまれるエピソードはどれも「なるほど、そうかもな」と思うようなものでした。ああいう場所に暮らす人たちを私は知りませんが、教育も施しすらもらえない人たちというのは果たして私たちが考える「人間らしさ」を兼ね備えているのかどうか。

 

結局、どうしても私にはリアリティをもたなかった。どの話も、どの女性も、私にはなにも訴えてこなかったし、徒労感すらも与えなかった。なんだろうな、あまりに「人間の話」じゃないんですよね。主人公男性も、ここに出てくる女性たちになんらかの期待をしているけれど、それがぬくもりとか温かみとか「人間らしい」ものじゃない。「肉」でしかない、そう思えてしまった。だからこそ「何を言いたいのだろう?」という疑問だけが積みあがって物語が終わってしまいました。町田のアイリーンの話がよかっただけにすごく残念。

 

でもこういう作家さんがいるということを知ることができたのはよかったです。Kindle Unlimitedがなかったら知ることはなかっただろうなー。