また、明日。

マイペースにやってます。

玉井次郎 『ソープランドでボーイをしていました』

今月のKindleセールを紹介するブログ(だったと思う)で絶賛されていて、カスタマーレビューも高評価だし、見たことのない(多分今後も遭遇することのないであろう)世界の話なので、野次馬心丸出しで読んでみました。

 

ソープランドでボーイをしていました

ソープランドでボーイをしていました

 

 

ソープ通いをしている先輩がいるので、朝イチでお店に行く人がいるとか、予約ができるとか、鶯谷はどうで五反田はどうだとか、接待でつかうから領収書が出してもらえるとか、そういう話は事前情報として知っていました。また、風俗産業で働く女性に焦点をあてたものは福祉の立場などからも多く耳にしますし、キャバクラやおっパブくらいなら働いていた友達もいます。ただ、風俗産業の裏方として働く男性に焦点を当てた話というのはあまり聞くこともないので、なかなか興味深いものでした。

 

こういう業界で働く男性の中には表社会で働きづらい事情を持っていたり、ギャンブル好きだったりなどのなんらかの「事情」があると思っていました。なので、この主人公のように東日本大震災によって、こういう世界に飛び込まなくてはいけなかった人がいた、ということが驚きでした。しかも著者50歳での未知の世界への飛び込み。どれだけ心理的・肉体的ストレスが強かっただろうかと思います。でもあんまり悲壮感漂ってないのがいいですね。体育会系の大変さもありつつ、キャラの濃い人たちに囲まれて、時に「楽しそう…」にみえるところも。いや、かなり切実だったとは思うんですが。

 

震災直後、日本では仕事がないからとバンコクのコルセンで働く人もいる、という話があったくらいなので、ソープに就職する人がいてもおかしくないよなぁ…と妙なリアリティを感じたのも事実。それにしてもうまいことまわってるもんですね。困ったときにちゃんと求人広告が目に入って、それで仕事がみつかるなんて。アンテナを張ってるつもりでもキャッチできない人って多いし、キャッチできても行動するまで至らない人も多いし。

 

この本を読んで思ったのは、「自分がどうなりたいか」「自分はどうあるべきか」というのが見えてる人と見えていない人では、やることも選択肢も変わってくるんだな、ということ。なんかすごい壮大な話に聞こえますが、要は自分にとって大事なもの・必要なものがわかってると、間違いなく選ぶものが変わってくるよね、という話。自分にとって大事なのが家族なのか、お金なのか、自由なのか、仕事なのか、それともほかの事なのか。自分で自分の大事なことがわかっていると選択に迷いがなくなるし、ちょっと軌道を間違えたとしてもきちんとそこに戻っていくようにできている。具体的な「やるべきこと」が見えて自然とそこへ向かうから、かもしれません。あ、これって「引き寄せ」とかそういうこと?

 

ところで、最近ちょっと気分が落ちてて、イライラしたり、心に余裕がない私ですが、主人公の玉井さんが

 

「俺はツイてる。ツイてる」

 

と呪文のように唱えながら自分を鼓舞する姿は、自分で自分の機嫌をとるのが苦手な(&特に今、全然できてない)私には見習うべき点。自分で自分をのせていかないとなぁ…(波に乗れてなくてどんより)