また、明日。

マイペースにやってます。

安部結貴さんのうつ本

突然ですが、「うつ」と診断されたことはありますか?

では、周囲に「うつ」の人はいますか?

 

私には身内に「うつ」と診断され、引きこもり生活をおくる人がいます。そして私自身、過重労働で心身共に疲れ切った生活を送っていた経験があり、「うつ」と診断されたのは自分かもしれない、という気持ちがあります。なので、病気への理解をアップデートするために色々と探していて読んだのが、安倍結貴さんの本でした。

 

それって、立派な「うつ」ですよ

それって、立派な「うつ」ですよ

 

こちらの本には、うつになったときの対策や心構えなどが書いてあります。でも、「うつ」になってから読むには情報量がちょっと多いかな。なので、本を読んでメモを取れるくらいの元気があるうちに、もしくは身近に「うつ」の人がいたり、身近な人が「うつ」になるんじゃないかと心配している人に是非オススメしたいと思います。

 

なんせ安倍さんは「うつ」の10年選手。その間に良くなったり悪くなったりしているようですが、病気について非常によく理解されています。きっと主治医の先生との関係も良好なんでしょう。このくらい自分のことを客観視できれば、と元気な状態でも思うほどです。

 

「うつ」は脳内物質セロトニンの分泌がきちんとされていないことが要因であり、一度分泌が減ってしまったそれを戻すのは大変である、ということがこの本には何回も出てきます。こういった理屈は非常に説得力があるし、多分過労をやったあとの体力の衰えなんかも同じようなメカニズムがあるんだろうなーなんて思ったりして、応用も効きます。一番つらいのは「何故こうなのか」という状態なので、そこがしっかり説明されているというのは非常に心強い。なので、「うつ」を理解するにはおすすめの一冊といえます。

 

入院しちゃったうつウーマン

入院しちゃったうつウーマン

 

こちらの本は安倍さんが精神科に入院したときの入院記です。

 

私は親しい友人が精神科で働いていた経験があり、精神科というものは恐れる必要がないものだということを聞いていました。それでも世間一般では「精神科に入院する」というのはかなり特殊な目でみられること、『17歳のカルテ』のような困ったレベルの高い患者に囲まれて暮らすこと、などを想像してしまいがちです。こちらの入院生活記録はそんな偏った考えを変えてくれる本でした。

 

なによりも「疲れたら入院してゆっくりしたらいい」というのは目からウロコでした。最近はそういう理由で入院を受け入れている病院があるということ、また「ゆっくりする必要のある人」がいること、そして「うつ」という病気が「脳内物質セロトニンの分泌異常」であるという理解がすすんでいることがわかります。この本は「うつ」と「精神科」への敷居を下げた本と言えるかと思います。

 

わたしは働くうつウーマン

わたしは働くうつウーマン

 

 こちらは安倍さんの長年に渡る闘病記ですが、読んでいて「これは私だったのかもしれない」と思う場面が多く、実はこの3冊の中で一番つらい本でした。でもタッチは明るいし、決して悲観的ではないのですが。

 

 

周囲の人間の理解がすすまないことにはいつまでも「なんだサボりか」などと言われ続けるわけで、患者も自分を責めるばかりになってしまいます。 「うつ」でつらいのは本人です。そこに寄り添い、共に社会復帰に向けて考えていくというのは大事なことだと思います。そのためにも「うつ」への理解を深め、心無い言葉でおいつめるようなことのないよう、そしてときには専門家と二人三脚で歩める体制づくりをするためにも、こういった本が知られるとよいな、と思っています。

 

「ストレスを感じているうちはいい、問題は感じないストレスだ」とは、精神科勤務時代の友人の言葉ですが、そう考えると「うつ」になるのは明日の私自身かもしれない。ストレスの多い現代社会だからこそ、予防のためにも理解のためにも、そして明日の自分自身のためにも備えはしておきたいと思いました。

 

とにかく無理はいけないね。