また、明日。

マイペースにやってます。

米澤穂信 『満願』

 新年2冊目読了。

 昨年夏に本屋さんでよく見かけた本です。

 

本屋さんのポップにこのミスだとか文春のミステリーベストに選ばれたとか書いてあったので、思わず買ってしまいました。しかしそのまま積読に。 ようやく読むことができてよかった、よかった。 

 

満願 (新潮文庫)満願 (新潮文庫)
 

 

こちらの本は6本の短編からなっています。各お話のタイトルやあらすじなど、そのあたりのことはアマゾンの内容紹介なり、ブクログなり、Wikipediaを読めばわかるので省きます。

 

この方の作品は初めて読みましたが、女性がいいですね。いい味をもった女性がたくさんでてきます。そしてどの女性も一人でしっかり立っている。清々しいほどにみんな一人で立っている。ただ、その奥にはやはり様々な「決意」があって、誰にもそれを見せずに踏ん張っている部分もある。そこが「恐ろしい」と思われてしまうものだったりする、のがこの本に出てくる女性たちだと思います。

 

正直、作品ごとに「あ、あのひとの○○に似てる」と思う部分もあったりするのですが、個人的には『死人宿』『関守』『満願』が好きです。

 

『満願』は奥ゆかしい女性に似合った奥ゆかしい文章でした。あと、母方の実家の建物と縁側と庭、床の間にいつも飾ってあった掛け軸を思い出しました。それから、地元からさほど遠くない場所のだるま市のことも。そういう小さな思い出をそっとなぞるような文章が、とても優しくて気に入りました。

 

www.jp-spiritual.com

通学路にあるお社に、誰かがこの市で買っただるまを置いていた。