また、明日。

マイペースにやってます。

映画 『ダージリン急行』

 

ダージリン急行 (字幕版)
 

 

数年前、インドで寝台列車に乗りました。

 

西にあるジャイサルメールという街から、友人が手配してくれた列車に息子と二人で乗りました。デリーまで14時間くらいだったかな?夕方のまだ明るい時間にジャイサルメールを出て、ジョードプルやジャイプールを経て早朝デリーに着きました。

 

列車の中ではごはんが出たり(オムレツを食べた記憶)、チャイワーラーが回ってきて1杯10ルピーで小さな紙コップにチャイが買えたり、草っぱらを走る線路の脇で数名並んで立ちションする男性の姿を車窓から見たりしました。

 

列車の中は時間がゆったりと流れていて、色んなことをとりとめもなく考えたり、本を読んだり、眠る息子の顔をみたりして過ごしました。特に大きな事件もなにもなく、人生を変えるようなことも起きなかったけれど、あのゆったりした時間は私の中に根付いています。

 

映画を見ていて、騒動の合間に挟まれる人々の生活やそこに流れる時間や空気が、あの時の旅を思い出させてくれました。

 

ダージリン出てこないけどね。 

 

英国一家、日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

英国一家、日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

 

ジャイサルメールからの寝台列車の中で読んでた本。 

映画 『キングスマン:ゴールデン・サークル』

みましたよ、遂に!

ありがとう!ありがとう!ありがとう!!

 

www.foxmovies-jp.com

 

スパイガジェット満載!アクションばんばん!そこに帰ってきたコリン・ファースマーク・ストロング、そしてチャニング・テイタム!!!!!と、めっちゃもりもりもりあがって見てましたけど、

 

 

エルトンいらないよね(バッサリ)

 

 

そもそも80年代のセルフパロディなの、あれ?あの頃のエルトンが好きなイギリス人(50歳以上)にはウケるだろうけど、私はちっとも好きじゃないのですごくどうでもよかった。それに見るからにアクション無理そうなおじいちゃんにアクションシーンは…。あれは冷めた…。

 

 それはさておき、

 

コリン・ファースの見事な変身ぶり!スウェット着て緩んだ表情と覇気の無さ VS スーツをバリっと着こなして戦うジェントルマンの姿のギャップには燃えた…。かっこよすぎ…。

 

一方、期待してたチャニング・テイタムはあまり活躍の場がなくて残念。ポスターにも大きく載ってるのに…!!!!続編あるんでしょうから、そっちでの活躍を期待します。あと、もっとエロくていいのに…って思って見てた(←ゲス)

 

正直、ストーリーはどうでもよくて、スパイガジェットとアクションシーンがすごく楽しいので、それだけで充分。あと、男の心意気がね!なんかよかったよ!なんか!!

 

それにしても

 

ジュリアン・ムーアは何してもチャーミングだった。

 

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続編待つ。

 

映画 『花戦さ』

移動の飛行機の中で見ました。

歴史物なので、利休の最期なんてのは知ってるんですけども、泣かずにはいられなかった…。梅の花なんてこれからはもう涙なくしては見られないかもしれない、というくらいグサグサ刺さりました。

  

www.toei.co.jp

  

秀吉の文化芸術を解さないところをこれでもかと表現するのって、このところ一つのパターンになってますが、1時間ほどの間にそれがみっちり積み上がっていってもう本当に腹立たしいのなんの。そもそも金ピカ好きってのがモロに下品なんだけど、「それは好みの問題として横に置いておきましょう」いうのに、自分の趣味を押し付けて心の中まで従わせようという横暴さ。しかもここで表現される秀吉に葛藤はなく、ただただ傲慢。信長の言葉なんて理解せず、形だけを真似ていることが後半になってよくわかる。そこに乗り込んでいく専好の覚悟。信長に呼ばれて行くときとのコントラストがまた泣ける…。

 

秀吉にとっては芸術を理解しないというのは不幸な話でもあって、本人も多分それを多少なりとも自覚しているからこそ、真似事だけはせっせとしているつもりなんだと思んですね。教養もないところからの成り上がりで、相手の背負ってるものを気にしない人だからこそ天下人になれたともいえるんだけど、それはいつまでもバカにされる材料でもある。もっと謙虚に教えを請いたり、自分より知ってる人を敬うことができてたら豊臣家の運命自体も違ったのでしょうが、あくまでそれは「あったかもしれないもうひとつの未来」でしかないので…。

 

ところで、佐藤浩市さんが利休っていうのは、ちょっとエロすぎない?と思ったんですが(個人的にベスト利休は『江』の石坂浩二)、三國連太郎も利休を演じてたし、オマージュかなぁ…などと思いながら見ていました。まぁ、エロかったです。まだまだムンムンしてますね。ムンムン。

 

池坊専好を演じた萬斎さんについては、表情の豊かさが過剰に見えるときもあるんだけれど、それを差し引いても所作の美しさには見惚れるし、萬斎さんは喜と哀を上手に使う方なので、後半の専好の苦しみがぐっときましたよ…。

 

しかしこの映画、当時の死人や罪人、河原者の描写など結構エグい。大河ドラマ『おんな城主 直虎』に通じるものがあって、戦国時代の死生観や死体の扱い方なんかがエグいほどリアルに描かれているので、見ておくと先々の戦国物を見るときの理解が深まるのでは。。。

 

と思ってたら、脚本は森下佳子さんじゃないですか!

また森下さんにやられたー!

 

 

 

www4.nhk.or.jp

ところで、私は大河ドラマ好きなんですけどね、猿之助さんと佐々木蔵之介が同じ画面にいると『風林火山』と錯覚しちゃってですね…。つか、猿之助さん歳とらなさすぎませんか…。

 

映画 『聖の青春』

ずっと気になってて、ようやく見れた作品。

 

 将棋が大好きで大好きで、大好きがゆえに延命よりも将棋のそばにいることを決めて生き抜いた”羽生世代”といわれる若手棋士村山聖さんのお話。

聖の青春 [DVD]

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個人的には、村山さんのご両親はなぜ治療することにもっと積極的にならなかったのだろうか、本人も「将棋と寄り添っていたい」のならば何故もっと健康管理をしなかったのか。そこがどうしても理解できなかった。それとも、長くない命と知ってたからこそ、太く短く燃やすことを選んだのか。

 

私も子どもがいるけれど、自分の子にあそこまで好きにさせてあげられる自信はない。ただ、映画で描かれた以上にご本人が自立して生きることを望んでいたり、ご両親も難病によって先行きが見えにくかったのかな、とかとか色々と考えてしまった。(このあたり、原作本読むとわかるのかな)

 

それにしても将棋の世界(勝負の世界)はなんと厳しいものか。全く知らなかった将棋の世界、あんなに裾野が広く、なおかつ熾烈な「実力勝負」があり、力のある人は許される世界であり、多くの人が虜になるドラマがある。その中でも村山さんは病気を抱えながら、破天荒な強さで注目を集めていく。すごい、この人。酒の飲み方も将棋への集中力も、そして生きることへの向き合い方も。「執着」が将棋の名人になることで、生きながらえることではなかったことが驚きだった。生きてなかったら名人になれないのに。

 

かといって破滅型思考というわけでもないし、独特の思想があったんだろう。まだまだ若かったし、そういうことを言葉に残すすべも持っていなかったのかもしれない。そんなに自分の命をかけられるものがある、というのはちょっとうらやましい気もするけれど…。だからこそ「伝説の棋士」なんて呼ばれるんでしょうけれど。

 

それにしても残される方はつらいですね。思い出すことはあっても、それに勝つことはもう叶わないから。

www.buzzfeed.com

 

この映画で将棋というものの熱気に当てられ、父に教わって将棋をさしてみたりしたのですが、なかなか勝つのは難しく、先を読むのが難しく、将棋の醍醐味を味わえるようになるまでの道のりは遠そうです。。。

 

で、このアプリでちまちま練習中。

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映画 『この世界の片隅に』

ようやく見れました。

開始直後ののんさんの声を聞いただけで涙がポロポロと。日常の小さな幸せ、日常生活こそが奇跡だというそのことをギュッと煮詰めたような透明感のある声で、柔らかい言葉の吐き出しに心を鷲掴みにされました。

 


映画『この世界の片隅に』予告編

 

あちこちのインタビューで見かけた街の再現性の高さ。私は当時の広島の姿を知りませんが、あそこに住んでいた人たちが嬉しそうに話をしていた番組を見ていたので、原爆投下前にひとりひとりの生活があったということが、生々しく伝わります。小さな小さなディテールに宿るリアリティ。その丁寧な仕事ぶりには頭が下がる思いです。

 

さて、この映画には小さな出来事がたくさん詰まっています。食べられる野草のこと、小さな畑のこと、遠くに見える海のきらめきのこと、かまどの火加減のこと、お裁縫のこと、望まれて嫁ぐこと、誰かに想われること、人が傷つくこと、家が焼けること、そして人が死ぬこと。最大の事件は空襲(と人が死ぬこと)と原爆ですが、それすらも日常に溶け込む出来事のひとつであり、日常生活が奇跡であることの演出にしか見えません。ひとつの流れの中で起きた、一つの出来事にすぎないのです。

 

後半、すずさんは「ぼんやりしたまま死にたかった」と言いました。喜びを奪われ、なにもしらずにぼんやりしたままの自分を喪い、日常をつつがなく送るようにみえた彼女は本当は途方にくれていたはずです。でも、日常は待ってくれない。個人の人生における大きな事件であり、日常の軌跡を根底から揺るがすものだったでしょう。しかし誰かの人生における大事件でも、世の中を揺さぶることはほとんどありません。大きな世界の中の小さな私たちに起きる出来事はそんな瑣末なものなのです。

 

そしてその出来事をくぐり抜けたすずさんは、それまで以上に日常を力強くつむいでいきます。そこには強い決意や奇跡はないけれど、淡々と、でも確実に意思を持つすずさんがいて、彼女の人生を少しずつ塗り替えていきます。これこそが「奇跡」なのかもしれない。そして旦那さんがいつ、どこで、すずさんを見初めたのかという夢のような話が、ぼんやり夢見心地な彼女のなかでひとつの事実として認識され、世界を見つめる目が大きく変わります。

 

私達はまだまだ生きていける。なにがあっても、絶望がそこにあったとしても、生きている限りは前を向いて、目の前の日常を積み上げていく。それが美しく、尊く、力強く、些細なものでも大事であることを、この映画は伝えてくれました。

 

最初から最後まで泣きっぱなしで、感情の波はすごかったですが、映画そのものは静かで、淡々としています。アニメでしか表現できない、おっとりした・ゆったりした時間とお話でした。また、すずさんに会いたいです。

映画 『ヒメアノ~ル』

軽い気持ちで見るんじゃなかった。

 

見たことを後悔するわけではないけれど、見ないほうがよかったと想わざるをえない。とにかく記憶に突き刺さったトゲをグリグリするような、心をゴリゴリ削るような映画だった。そして確実にずっと記憶に残る一本だ。

 


ヒメアノ~ル PV

 

もともとはV6の森田剛くんが出てるというので興味を持った映画だ。共演者は今をときめくムロツヨシ濱田岳だし、原作は古谷実だし、これはもう軽いアイドル映画的な?かわいい感じな?それなりに面白くてそれなりに泣けちゃう類のやつでしょ?とどこかで思っていた気がする。ところがそれは裏切られる。そんな生易しい映画ではなかった。

 

 

連続殺人犯となる森田くん(この名前がまたつらい)は異常なのか正常なのか。むしろ主人公岡田くんの先輩・安藤さんのほうがよほど社会に溶け込めていない「おかしな人」に見える。二人の部屋の様子を比べても、こざっぱりしている森田くんの部屋に対し、安藤さんのほうはチェーンソーがおいてあったりごちゃごちゃしていて汚部屋の部類だ。しかし後輩である岡田くんを守り、友と呼び、仕事もきちんとしている様子は社会との接点を感じる。ベッドの上で岡田くんに話しかける安藤さんは、岡田くんという社会とのつながりにすがりついている様子すら伺える。一方、森田くんにとって岡田くんは同級生以上でもそれ以下でもない。仕事もしておらず、ゆすりたかりで暮らしている。それはつながりというよりは、一方的に結んだ関係だ。なによりゆかちゃんに対してふたりが持った恋心の現れ方には大きな差があった。どちらもゆかちゃんを見ていたくて付け回していたけれど、岡田くんと付き合っていると知ってからの二人には大きな差がある。ゆかちゃんも、安藤さんのことはストーカーとしては認識していない。

 

私はずっと森田くんが心配だった。返り血を浴びて、ドロドロに汗をかいた森田くん。一軒家で殺人を犯した後、サイズがちょっとあってないパジャマに着替える前にお風呂に入ったのかどうか。服は洗ったのかどうか。どんどん暗い色が増えていく彼のワードローブはどうやってメンテされているのか。体の小さい森田くんには持て余し気味の服。幻聴に悩み、アイマスクをしてイヤホンをしていても眠りが浅そうな森田くん。小さい身体で、自分の居場所を探す森田くん。カツアゲにあったとき、返り討ちにできなかった小さい森田くん。自身ではそんなことは微塵も意識してなさそうだけれど。

 

麦茶をつくってくれたお母さんは、今はどうしているのだろうか。広い庭と縁側をもつ、裕福そうな森田くんのご両親はどうしているのか。同居していた家族がいただろうけれど、その人達はどうしているのか。居場所は、殺人犯の家族にもあるのだろうか。

 

ヒメアノールというのは「ヒメトカゲという体長10cmほどの小型爬虫類で、つまり強者の餌となる弱者を意味」するらしい。誰が強者で誰が弱者かは映画を見るとわかるが、シチュエーションでも、強弱の軸を何にするかでも異なる。金か、暴力か、愛情か、友情か。

 

この映画には底辺の俺達というセリフがあるけれど底辺って何だろうか。鈴木大介さんの著作によれば、貧困層であっても「仲間」がいれば疎外感も少なく、社会との隔絶が起こらないために自らを貧しく厳しい境遇と認識しにくいという。福祉が負うべき貧困層と社会との接点をコミュニティで補完することは現在の社会において是であるという話は、この映画を見る上で参考になると思う。

 

 

tamako99.hatenablog.com

 

 

そんなわけで全く持ってお手軽お気楽なアイドル映画なんかではないし、本作での森田剛の演技はとんでもないので(ここをどう強調していいかわからない!でもすごいから!)、「森田剛ってチャラチャラしてるよね」と思う人ほど見て、裏切られてほしいと思います。私がV6ファンというのを差し引いても、この作品の森田剛はオススメ。

 

あと、これでムロツヨシ沼に落ちました…。まさかのこれで…。

  

ヒメアノ~ル 通常版 [Blu-ray]

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