『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり』 ジェーン・スー
ついに読みました。我らが脳内政府官房長官、ジェーン・スーの最新刊です。今回もパンチライン続出、うなる内容、そしてまたしても「お前は俺か!」といいたくなるような共感の嵐。 ジェーン、恐ろしい子…!
40代の女性なら未婚だろうが既婚だろうが子どもがいようがいまいが、ジェーンの話に深くうなづける部分があると思います。
特に今回、私がうなったのは”恋愛なんてさ”と題された章に記された「執着」の話。
私にも身に覚えがあります。「私が紹介した人と、私を抜きにして仲良くしていてずるい!」と言われた経験が。説明が難しいですね。要は、Aさんに紹介されたBさんと意気投合して、Aさん抜きでも仲良くしてたらAさんにえらく怒られ嫌われたという経験、です。
10代20代の頃の昔話ではありません。つい最近、ここ数年での話です。いい大人になっても「私を一番に優先して」という人がいることを知りました。これは「ともだちだから」などという生易しいものではなく、自分の思っている通りの付き合いをしてほしい、自分を一番においてほしい、(意識してるかどうかは別として)相手をコントロールしたいという執着(というか念)を感じます。
そんな執着をジェーンは「恋人かよ」と斬り捨て、そして気づくのです。「恋人でもダメよね?」と。ダメですよ、相手が恋人だろうと友達だろうと家族だろうと、所詮は「自分ではない誰か」なんですから。そんな執着や束縛を「愛されてる♡」と思う人はそう思う人同士で仲良くしてください。結果として脳味噌が腐ったり、刺したり刺されたりしても同意の上でやってるなら構いませんが、私は断じてイヤです。以前も書いたとおり、中年は忙しいので誰かのために自分の貴重な時間も労力も割けません。
スルースキルを高めるのも大人になるための大事な一歩。そういう意味では、私はここ数年でようやく大人の階段を昇れているといえるかもしれません。中年、またも技を体得。ああ、忙しい忙しい。
それから最終章の宝塚の話も非常に心にぐっと来ました。私にとってそれはジャニーズですが、一部の人にとってそれはきっと宝塚なのでしょう。毎日の生活に疲れた自分を少しだけ奮い立たせてくれるもの、それは美しく、気高く、そして徹頭徹尾完璧でなくちゃ嫌!それがきっと宝塚ファンの見ている世界なんだと思います。わかる、すごくわかる。私も(ジャニーズ以外にも)そういう世界を覗きたい…!
と思ったので、近々宝塚でも見に行こうかしら。小学生の頃に見たきりの宝塚。ハマっちゃったらどうしようかな。福島の知人がヅカファンだったな、誘ったら行くかな、と妄想が頭から離れません。
しかし罪深きは我らの「欲望」。美しく着飾り、ちやほやされたいと思う若い時代を抜けてもなお、まだ渇望するものを新たに持ち続けるその己の・女の欲深さに脱帽するのでした。